2018 年 59 巻 1-2 号 p. 59-66
本稿では、フロー(「楽しさ」が動機付けとなり、そこでの感情が内的報酬となって次の行 動への動機付けとなる活動に没頭する心理状態)に着目して、先行実践での幼児の姿を分 析し、「遊びを通しての指導」の再検討を行った。その結果、本稿で分析を行った実践にお いては、幼児は遊びに没頭する中で葛藤解決に取り組むことにより、数学概念の獲得や認 識の質の高まりが生じる可能性が明らかとなった。今後、遊びへの没頭の中で葛藤解決に 取り組むことによって発達し得ることと、そのプロセスでは発達しないこととを整理し、 保育内容「環境」領域について数学としての内容の検討を行う必要がある。