抄録
第二言語習得研究で重要となるのは学習者の暗示的知識の正確な測定であり,近年その手法として時間制限つきの文法性判断課題 (timed grammaticality judgment task: T-GJT) の有用性が注目されている。本稿の目的は,T-GJT が実際に何を測定しているか,その構成概念妥当性を考察し,T-GJT が明示的知識の干渉を十分には排除できていない可能性を指摘することである。あわせて,T-GJT の問題点を回避するデータ収集法として,自己ペース読み課題 (self-paced reading task: SPRT) の可能性について考察する。