衛生動物
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各種昆虫の殺虫剤に対する抵抗性の研究 : 第 5 報協力剤 S-421 添加による塩素系殺虫剤抵抗性イエバエの駆除に関する研究
安富 和男
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1960 年 11 巻 1 号 p. 36-41

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抄録
Pyrethrins及びAllethrinsのSynergistの一つであるOctachlorodipropylether (S-421)の, 塩素系殺虫成分に対する相乗作用, とくに塩素系-抵抗性イエバエの効力増強作用について実験をおこなつたところ, 次のような諸点が明らかとなつた.(1) Allethrin, 及びPyrethrins, とくにAllethrinに対しては, Piperonyl butoxideに比べて極めて顕著な増強作用が認められた.(2) DDTにS-421を混入すると, 本邦産の耐性の強いイエバエ群でも, 基準量の撒布面(2.5g/m^2)による中央致落下仰転時間(KT-50)の値においても, また, Topical applicationによる雌イエバエ1頭当りのLD_50の値においても, 欧米のDDTに弱い代表的な感受性系統とほゞ等しい結果が得られ, S-421を混入すれば, DDTにもともと耐性が強い本邦のイエバエ駆除には極めて有意義であろうと思われる.そして, S-421によつて増強された撒布面残渣の効力は, 1カ月以上も持続する.(3)γ-BHC, 及びdieldrinにS-421を混入した場合も, DDTの場合と同様, イエバエ, とくに抵抗性系統に対して顕著な相乗作用を示す.
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© 1960 日本衛生動物学会
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