衛生動物
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各種昆虫の殺虫剤に対する抵抗性の研究 : 第 7 報 抵抗性イエバエ幼虫並びにアカイエカ幼虫に対する S421 の相乗作用について
安富 和男
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1960 年 11 巻 4 号 p. 202-205

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抄録

イエバエならびにアカイエカの終令幼虫を供試して, 塩素系および有機燐殺虫剤に, S421すなわち, octachlor dipropyl etherを混入した場合の効力に関する実験をおこなつたところ, 次のような事実が認められた.(1)塩素系殺虫成分, すなわち, DDT, γ-BHC, dieldrinにS421を5分の1量から等量(1 : 0.2〜1 : 1)添加すると, 抵抗性のアカイエカ幼虫にたいする効力の増強が顕著にみられた.(2)γ-BHCにたいして, S421を5分の1量から等量添加したものは, γ-BHC単剤に比べて, 抵抗性イエバエ幼虫にたいしても, 感受性系統の幼虫にたいしても, 顕顕な効力増大が認められた.(3)有機燐剤, すなわち, diazinon, およびDDVPにS421を5分の1量添加した場合, 抵抗性イエバエ幼虫にたいして, 若干の効力増大がみられ, diazinonにS421を5分の1量混入した場合, アカイエカ幼虫にたいしても, 若干の効力増強が認められたが, 有機燐剤にS421を加えた場合の効力増強の程度は, 塩素系殺虫剤の場合に比べると著しくない.

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© 1960 日本衛生動物学会
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