衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
ボリビアとブラジル東北地方の家屋内に生息するサシガメとTrypanosoma cruziの感染率
堀尾 政博桝田 京子三浦 左千夫竹内 勤
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2005 年 56 巻 2 号 p. 85-91

詳細
抄録

シャーガス病の母子感染が多数報告されているボリビアSanta Cruz州の家屋内に生息するサシガメを採集して, その種類とT. cruziの感染率を調べた.その結果, 屋内には多数のTriatoma infestansが生息していて, しかもT. cruziの感染率は平均80.5%と極めて高く, 屋内でシャーガス病の感染サイクルが回っていることが明らかとなった.また, この地区のヒトのT. cruzi-IgG抗体陽性率も84.0%と高く, 住民は常時感染の危険にさらされているものと推察された.一方, 母子感染が報告されていないブラジル東北地方では人家内にサシガメはほとんど見られず, 家畜小屋のみに多数生息していた.しかし, これらのサシガメは鳥等の動物吸血嗜好性で, T. cruziの感染率も極めて低かったことから, シャーガス病の危険性は低いものと思われた.

著者関連情報
© 2005 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top