衛生動物
Online ISSN : 2185-5609
Print ISSN : 0424-7086
ISSN-L : 0424-7086
大分で採集されたウチダツノマユブユにおける鳥寄生性と推定されるフィラリア幼虫の自然感染
福田 昌子Odile BAIN青木 千春大塚 靖高岡 宏行
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2005 年 56 巻 2 号 p. 93-98

詳細
抄録

2000年5月から8月にかけて, 大分県久住町のツキノワグマを飼育している熊舎でブユ成虫の採集を行い, フィラリア幼虫の感染の有無を調べた.採集されたブュは合計7種131個体で, ウチダツノマユブュSimulium uchidai (Takahasi), アオキッメトゲブュS. aokii (Takahasi), キアシツメトゲブュS. bidentatum (Shiraki), オオアシマダラブュS. nikkoense Shirakiの順に多かった.128個体を解剖した結果, ウチダツノマユブュ52個体のうち9.6%にあたる5個体から, 未知のフィラリアの第3期幼虫を感染雌あたり5-115個体見いだした.感染幼虫の体長は490-590μm, 体幅は16-19μm で, その形態的特徴から鳥寄生性のSplendidofilaria属と推定された.ウチダツノマユブュが属するNevermannia亜属のフィラリア幼虫の自然感染としては最初の報告である.

著者関連情報
© 2005 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top