抄録
Diazinon, malathion, lindane乳剤及び, pyrethrins液剤(xylene soln)を直径11cmの円形濾紙に200倍稀釈液1.5cc(pyrethrinsのみ0.5cc)を処理乾燥後, 更に水1cc及び2cc加え, 全く水を加えないものとの効力を, イエバエ成虫に対するKT-50の値より比較検討した.上記4種薬剤いずれも, その処理面の水分量が増加することにより, その効力も増大した.特に, この効力の増大する割合は, malathionにおいて著しく, 次いでdiazinon, pyrethrins, lindaneの順であつた.主にmalathionとlindaneについて, ガラス面と濾紙面にこれを処理した時の効力を比較したが, いずれの場合も, ガラス面に薬剤を処理した方が, いずれの場合も, ガラス面に薬剤を処理した方が, イエバエ成虫に対する仰転及び致死効果が高く表われた.しかし, そのガラス面と濾紙面の効力の差はmalathionにおいて著しく, lindaneは, その差が大きく認められなかつた.また, malathionとlindaneを比較した場合, ガラス面を用いた時は, malathionが優れた効力を示したが, 濾紙面では逆に, lindaneの方が, はるかにその相対的な効力がまさつていた.一般に薬剤を処理する基材表面の水分吸着量の大なるものほど, その殺虫効力がおとり, 小さいものほど, 高い仰転及び致死率が得られた.