抄録
豆腐〓製造に適した紅麹の製麹方法について,特に酵素活性の面から検討した。
(1) 麹の品温は種麹接種後38時間目から上昇した。製麹過程で麹の水分含量が40%前後になるように散水を行なうことにより良質の麹が得られた。麹中のα-アミラーゼ,糖化型アミラーゼ,酸性プロテアーゼ活性及び紅色色素量の生成からみた本麹菌の製麹期間は150時間目付近が適当であった。供試紅麹菌株の生酸性は極めて低かった。
(2) ウルチ米を加圧蒸煮して製麹した麹の酵素活性及び紅色色素生成量はともに普通蒸煮法による麹に比べて高い値を示した。特に色素生成量は4倍以上も増大した。
(3) 紅麹を-20℃で12ケ月間保存しても酵素活性及び紅色色素量は全く変化を受けなかった。 4℃で12ケ月間保存すると酵素活性は60%前後に,紅色色素量は90%に減少した。
(4) 供試紅麹菌株のα-アミラーぜ及び糖化型アミラーゼのアルコールに対する安定性はプロテアーゼのそれに比べて高かった。