1994 年 1 巻 1 号 p. 29-30
最近、内在性抗原のプロセシング提示機構の解明が進み、この免疫反応システムにおけるプロテアソーム(蛋白質分解酵素複合体)の役割の重要性が明らかになりつつある。ガンマ型インターフェロン(IFN-γ)はMHCにコードされたプロテアソーム遺伝子LMP2とLMP7をUp-Regulationさせると同時にサブユニットXとYをDown-Regulationさせる。この分子構成の変動は抗原ペプチド生成に適応したプロテアソームの機能変化であることが示唆されている。cDNAクローニングの結果、XはLMP7と69%、YはLMP2と61%のホモロジーを有することが判明し、IFN-γは通常のX/Y型プロテアソームからLMP2/7型プロテアソームへの構造変換を誘導して大量に侵入してきた非自己抗原のプロセシングを加速させ、細胞性免疫反応を亢進させると考えられた。これまでIFN-γの主な作用機構は標的遺伝子の転写促進と考えられてたが、抗原のプロセシング反応においてはプロテアソームの機能変換という新しい仕組みで応答することが示唆された。