1994 年 1 巻 1 号 p. 31-32
免疫学的妊娠維持機構において胎盤絨毛に発現する主要組織適合抗原は重要な役割を担っているが,非古典的クラスI抗原であるHLA-G抗原が胎盤絨毛に特異的に発現することが報告された。本研究では異なるHLAクラスI抗原を発現する種々の絨毛癌細胞株をモデルとして,抽出核蛋白とクラスI遺伝子上流域との結合をゲル移動度シフト法を用いて解析した。HLA-Gを発現する細胞株BeWoからの抽出株蛋白中にHLA-G遺伝子の転写開始点から上流120bpから190bpの部位に結合する蛋白をゲル移動度シフト法で確認した。この核蛋白はHLA-A2遺伝子上流域のNFκβの結合のパターンとは異なり,クラシカルなクラスI抗原を発現する他の絨毛癌細胞株には同定できなかったことから,NFκβとは異なる核蛋白であることが示唆された。