2003 年 10 巻 1 号 p. 33-44
Natural Killer(NK)細胞は, 腫瘍による形質転換やウイルス感染などによる, あらゆるストレスに曝されたアブノーマルな細胞を認識し, 傷害することができる, リンパ系エフェクター細胞の一種である. キラーT細胞と標的細胞の関係のように1対1の対応性は持たず, 1個のNK細胞が数種類の異なった標的細胞を傷害できることが一つの特徴である. NK細胞は通常の免疫応答(T細胞/抗原提示細胞を介した系)に先駆けてより早い段階で免疫応答を引き起こし, サイトカインやモノカインを放出することによって免疫機構に寄与する(1, 2). NK細胞はその細胞表面に活性化シグナルを伝える受容体(activating receptor)と抑制化シグナルを伝える受容体(inhibitory receptor)を発現しており, それらの種類, 数は多岐に渡っている. NK細胞のエフェクター細胞としての機能はこれら活性化/抑制化受容体を通じた, 細胞内への"正と負のシグナルのバランス"によって決められる(3-5).