2022 年 38 巻 4 号 p. 229-233
心房中隔欠損(Atrial septal defect, ASD)は頻度の高い先天性心疾患であり,チアノーゼなどの症状が出ないことも多く,小児期に診断されることなく成人に到達する症例も少なくない.成人期まで到達したASDでは長年の右心系の負荷と肺血流の増加に伴い,心不全,心房細動,肺高血圧,などの合併症を伴い病態が複雑となることがある.従来の外科手術に加えて,近年の経カテーテルASD閉鎖術,心房細動に対するカテーテルアブレーション,肺高血圧治療薬の進歩に伴い治療成績は向上している.