日本組織適合性学会誌
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総説
MHC偽遺伝子化の生物学的意義
颯田 葉子
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2006 年 13 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

主要組織適合抗原(MHC)は脊椎動物での獲得性免疫機構においてT細胞受容体, 免疫グロブリンとともに重要な役割を担う分子の一つである. いずれの分子も無限の抗原と結合する必要性から個体内での多様性が高い. MHCでは限られた数の遺伝子座で高度な多型性を保つことにより多様性を維持している. ゲノムあたりの多型的MHC遺伝子座の数は, 遺伝子重複と偽遺伝子化のバランスによって保たれている. 本稿では, ヒトMHC(HLA)の進化における遺伝子重複(それに続く遺伝的分化)と偽遺伝子化の過程を推定し, MHCの進化における偽遺伝子化の意義を論ずる.

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© 2006 日本組織適合性学会
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