日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
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13 巻, 1 号
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総説
  • 笠原 正典
    2006 年 13 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー

    ヒトのゲノムを詳細に観察すると, ブロック重複によって形成されたと考えられる遺伝子の集団(クラスター)が2-4セット, 典型的には4セット, 異なった染色体上に存在する現象が認められる. この現象は, ゲノムパラロジーとして知られている. 過去10年にわたる研究により, 1)ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)であるHLA領域はゲノムパラロジーを示す典型的な遺伝領域であること, 2)HLA領域とブロック重複によって分岐したと考えられる領域は, 主として第1, 9, 19染色体上の限局された部位に存在すること, 3)ブロック重複は有顎脊椎動物の共通祖先が出現するまでに, 2回起きたと推定されること, 4)このブロック重複はゲノム全体の重複(ゲノム重複)の一環として起きた可能性が高いこと, などが明らかになってきた. ここでは, この話題を中心にして, MHCというゲノム領域がどのようにして創成されたのかについて述べる.

  • 颯田 葉子
    2006 年 13 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー

    主要組織適合抗原(MHC)は脊椎動物での獲得性免疫機構においてT細胞受容体, 免疫グロブリンとともに重要な役割を担う分子の一つである. いずれの分子も無限の抗原と結合する必要性から個体内での多様性が高い. MHCでは限られた数の遺伝子座で高度な多型性を保つことにより多様性を維持している. ゲノムあたりの多型的MHC遺伝子座の数は, 遺伝子重複と偽遺伝子化のバランスによって保たれている. 本稿では, ヒトMHC(HLA)の進化における遺伝子重複(それに続く遺伝的分化)と偽遺伝子化の過程を推定し, MHCの進化における偽遺伝子化の意義を論ずる.

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