日本組織適合性学会誌
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総説
第2回 同種造血幹細胞移植におけるマイナー組織適合性抗原の臨床的意義
村田 誠
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2007 年 14 巻 2 号 p. 177-189

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抄録

マイナー組織適合性抗原とは, 患者細胞表面のHLA上に提示される細胞内タンパク由来のペプチドのうち, 遺伝子多型により患者とドナー間で異なるアミノ酸配列をもち,非自己のTリンパ球に認識されるものをいう. ヒトでは20数個のマイナー組織適合性抗原が分子レベルで同定されている. マイナー組織適合性抗原に対するTリンパ球応答は, HLA一致ドナー同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病の発症や移植片対腫瘍効果の発現に関与している. 「1. はじめに」悪性腫瘍に対する同種造血幹細胞移植は, 大量の抗癌剤や放射線による前処置に続いてドナーの造血幹細胞を移植し, 生着したドナー由来の免疫担当細胞により残存腫瘍細胞を根絶する治療法である. この移植後免疫反応による抗腫瘍効果のことを移植片対白血病(graft-versus-leukemia:GVL)効果あるいは移植片対腫瘍(graft-versus-tumor:GVT)効果と呼ぶ.

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© 2007 日本組織適合性学会
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