日本組織適合性学会誌
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総説
HLA拘束性T細胞を誘導可能な末梢血モノサイト由来樹状細胞の大量産生法の開発
今村 悠哉春田 美和冨田 雄介松村 桂子池田 徳典高松 孝太郎西村 泰治千住 覚
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キーワード: CD14-ML, DC, cMYC, BMI1
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2015 年 22 巻 1 号 p. 37-43

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抄録
癌免疫療法ではHLA抗原により提示された癌抗原ペプチド特異的なT細胞を誘導することが最も重要であり,これを誘導するために樹状細胞(DC)が有用である。そこで我々はヒトの単球を生体外で増殖させることにより,少量の末梢血から大量のDCを作成する方法を開発した。末梢血より分離したCD14+単球にレンチウイルスでcMYCBMI1遺伝子を導入した後,M-CSFとGM-CSFの存在下で培養すると3–5週後に最大1,000倍に増殖させることができた。我々は,この細胞をCD14-MLと命名した。健常人ドナー12人中9人からCD14-MLが樹立でき,CD14-MLにIL-4とTNFαまたはOK432を添加するとDC(CD14-ML-DC)に分化した。このCD14-ML-DCにCMVペプチドあるいはMART1ペプチドを負荷し,末梢血から分離したCD8+T細胞と共培養することで抗原特異的なT細胞ラインを誘導することができた。CD14-ML誘導法はin vitroでヒトの末梢血単球を増殖可能とした初めての技術であり,患者負担を軽減するDC免疫療法への応用が期待できる。
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© 2015 日本組織適合性学会
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