日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
Print ISSN : 2186-9995
ISSN-L : 2186-9995
平成28 年度認定HLA 検査技術者講習会テキスト
造血幹細胞移植の現状と展望
豊嶋 崇徳
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 23 巻 2 号 p. 108-114

詳細
抄録

造血幹細胞移植は白血病などに治癒をもたらしうる治療法として開発された。わが国におけるその発展の歴史は,骨髄移植が導入された1970年代の“黎明期”,移植細胞源の拡大,骨髄バンク,臍帯血バンクの創設,ミニ移植法の開発などが相次ぎ,移植の多様化と適応拡大へと進んでいった1990年代の“発展期”,そしてHLAの壁にチャレンジし,必要な患者にタイムリーに移植を実施し,移植後のQOLも重視していこうという現在の“成熟期”に分類される(表1)。このような大きな変遷の中で,従来,造血幹細胞移植の成功のために必須の4条件と考えられてきた,ドナーと患者間のHLA適合,移植前の骨髄破壊的前処置の実施,移植後免疫抑制剤投与,無菌管理,は大きく様変わりし,移植医療の風景は一変した。本稿ではこのような歴史を振り返りながら,造血幹細胞移植の現状と展望を俯瞰する。

著者関連情報
© 2016 日本組織適合性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top