造血幹細胞移植において,不一致HLAアレル・抗原の数や遺伝子座がドナー選択では重要視されているものの,個々の患者で異なる移植後の免疫反応が見られる。近年では移植後シクロフォスファミドを用いた前処置を始め,免疫抑制療法にも進歩が見られ,ドナーの選択肢としてHLA不一致のドナーが選択できるようになってきたと同時に,その中で安全に移植できるドナー,リスクの高いドナーについての知見は十分ではない。不一致HLAアレルのアミノ酸置換部位による免疫反応の違いは重要な課題として長年研究が進められてきており,近年は免疫システムにより認識されるHLAエピトープを推定するアルゴリズムが開発されている。HLAエピトープが造血幹細胞移植後の予後に与える影響に関しては近年注目されている分野であり,これまでの報告を踏まえて概説する。