日本組織適合性学会誌
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原著論文
日本人に見いだされた血清学的サブタイプ“HLA-A9HH”の塩基配列の決定
柏瀬 貢一古谷 実石川 善英澤中 一恵徳永 勝士赤座 達也田所 憲治十字 猛夫
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キーワード: A9HH, A* 2408, 血清学, 塩基配列
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1996 年 3 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

我々は, 日本人健常者集団より, A9関連血清の一部と反応性を欠き, さらに一部のA2関連血清と反応する, 今までに報告されている抗原とは異なる反応性を示すHLAクラスI抗原を見いだし, 仮にA9HHと名付けその塩基配列の解析を行った. その結果, A9HHをコードしている対立遺伝子は, 訂正されたA* 2408と同一の対立遺伝子であることがわかった. A* 2408の産物はA* 2402と比較し3つのアミノ酸の置換があり, そのうちα1ドメインのGly62 とArg65 の2つのアミノ酸は現在報告されているA2抗原と同様である. A9HHが示した抗A2血清との交差反応性はこの2つのアミノ酸置換によるものと考えられた. A9HHはA9HH-Cw1-B54, A9HH-Cw10-B35の2つのハプロタイプを形成していると推定された. HAL-A9抗原は, 第5回国際HLAワークショップにおいてA23, A24にスプリットすることが報告された(1). その後, 3番目のサブタイプとして黒人由来のA9.3が(2,3), 日本人由来のA24AKが報告された(4). さらに, 2つのサブタイプの報告があるが塩基配列の解析は行われていない(5,6). A24抗原をコードする対立遺伝子としては, 現在までにA* 2402からA* 2408の7種類がWHO命名委員会により承認されている(7〜9). 今回我々は, 日本人健常者集団より今までに報告されている抗原とは血清学的反応パターンの異なる抗原を見いだし, 仮にA9HHと名付けその塩基配列の解析を行った.

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© 1996 日本組織適合性学会
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