1997 年 4 巻 1 号 p. 9-17
免疫学とは, 非常に奇妙な学問で, 構成因子の精細な分析が進む程, 免疫機構の全貌が朧げにしか見えなく成って仕舞うと言う面妖な特質を持っているようである. 此処では, MHC抗原の由来に就いて, 通説とは逆の議論を展開して見たいと思う. 何事も一方向からばかり見て居ると袋小路に追い込まれて既成概念が内蔵する矛盾に気附かなく成って仕舞う恐れがある. 先ず, 脊椎動物に独特な病原体に対する生体防禦機構を, 俗にAdaptive immune systemと呼ぶが, 其のadaptiveには如何なる意味が含まれているのであろうかを考えて見よう.