2016 年 32 巻 1 号 p. 25-37
Mycobacterium 属30菌種42株のドラフトゲノム解析を行い,分類と同定に有効なhousekeeping protein (HKP)を選択し解析した.NCBIの遺伝子の各分類区分から解析菌種に共通に保有され,多型の大きい107タンパクを選択した.そこからさらに多型が大きく,大きな脱落と挿入がある遺伝子を除外し,菌種識別に有用な12個の完全長のHKPを連結しC12HKPとして解析した.C12HKPは16S rRNA遺伝子との相関は0.66で,比較に使用した50個のribosomal protein(C50RP)とは0.94と高い相関があった.C12HKPの解析菌種間での多型の大きさは22.50%,C50RPでは9.08%,16S rRNA遺伝子では4.01%であり,C12HKPが最も大きな多型を示した.このことからC12HKPは類縁菌種の識別と同定に最も有用性が高いことが証明された.