日本微生物資源学会誌
Online ISSN : 2759-2006
Print ISSN : 1342-4041
32 巻, 1 号
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総説
  • 平石 明
    2016 年 32 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル 認証あり

    It is common knowledge in microbial ecology that most microorganisms in nature are not recovered on standard culture media. Therefore, although microbiologists are still making efforts to isolate unknown microorganisms, culture-independent molecular approaches to the analysis of microbial diversity are essential in this research area. High-throughput next-generation sequencing (NGS) is accelerating the growth of microbial ecology and phylogenetics strategies based on genomic and metagenomic information. In light of the current status of this research, we need to reconsider the significance of bacteria isolated as colony-forming units from the environment. One of the major foci regarding the culturability of bacteria is their ecological importance as “rare biospheres” of complex microbial communities. Another area of interest in culturable bacteria in the environment is whether their phylotypes can be covered completely by NGS-aided amplicon analyses. This paper focuses on the extent to which NGS and clone library approaches and conventional culture methods share the numbers of operational taxonomic units of environmentally derived bacteria. Biases in cultureindependent molecular approaches are also discussed on the basis of comparative data on 16S rRNA gene amplicons and respiratory quinone as biomarkers.

原著論文
  • 宮下 美香, 杉本 昌子, 鎌倉 由貴, Pattaraporn Yukphan, Wanchern Potacharoen, 中川 恭好, ...
    2016 年 32 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル 認証あり

    タイ産発酵食品に由来する乳酸菌とStaphylococcus属分離株について,その資源としての特徴および有用性を評価するため,生育環境におけるストレス耐性を調べた結果,分離株は酸性域での生育に耐性をもつ株が多く,また高塩濃度や高アルカリ性,高温で生育可能な株が存在した.このうち酸耐性と高温耐性は乳酸菌の,アルカリ耐性と高塩濃度耐性はStaphylococcus属分離株の特徴が主に反映されていた.そこでタイの気候や発酵食品の特徴を考慮して収集した日本国内の発酵食品に由来する分離株と比較した結果,タイ産発酵食品に由来する乳酸菌は酸耐性を示す株の割合が日本の分離株に比べて顕著に高く,酸耐性と高温耐性の両方を併せもつ株はタイの分離株のみであった.また,酸性域からアルカリ域までの広いpH範囲に対する適応もタイ産発酵食品に由来する乳酸菌が優れていた.タイ産発酵食品に由来するStaphylococcus属分離株の特徴としたアルカリ耐性や高塩濃度耐性をもつ株は日本の同属の分離株にも見つかり,類似環境に生息するStaphylococcus属細菌には地域問わずこれらの耐性をもつ株が広く分布していると考えられた.タイと日本の乳酸菌とStaphylococcus属分離株の種の分布には特段共通性が認められず,これら種分布の違いが分離株の生育特性の違いに反映していると考えられた.しかし,酸耐性や高温耐性を示した分離株については,日本産発酵食品に由来する分離株と同じ乳酸菌種がタイ産発酵食品に由来する分離株にも含まれ,タイの分離株には加えて多数の種が存在した.さらにタイの分離株では同種の株でも耐性に多様性が見られる場合もあり,株レベルでの性質の多様さが確認された.したがって様々な素材から製造された多様性に富んだタイの発酵食品から得られた分離株は,ストレス環境に適応した耐性を示す,日本では得られない微生物資源であると考えられた.

  • 水野 卓也, 名取 達矢, 金澤 泉, イブラヒム エルデソウキー, 福永 肇, 江崎 孝行
    2016 年 32 巻 1 号 p. 25-37
    発行日: 2016年
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル 認証あり

    Mycobacterium 属30菌種42株のドラフトゲノム解析を行い,分類と同定に有効なhousekeeping protein (HKP)を選択し解析した.NCBIの遺伝子の各分類区分から解析菌種に共通に保有され,多型の大きい107タンパクを選択した.そこからさらに多型が大きく,大きな脱落と挿入がある遺伝子を除外し,菌種識別に有用な12個の完全長のHKPを連結しC12HKPとして解析した.C12HKPは16S rRNA遺伝子との相関は0.66で,比較に使用した50個のribosomal protein(C50RP)とは0.94と高い相関があった.C12HKPの解析菌種間での多型の大きさは22.50%,C50RPでは9.08%,16S rRNA遺伝子では4.01%であり,C12HKPが最も大きな多型を示した.このことからC12HKPは類縁菌種の識別と同定に最も有用性が高いことが証明された.

技術報告
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