2016 年 32 巻 2 号 p. 163-178
2011~2014 年,小笠原諸島において採集した約300 点の樹木等の罹病部や寄生生物から菌類を分離し,DNA バーコード塩基配列および形態により分類同定を行った結果,286 菌株が124 種に同定され 161 菌株が属まで同定された.これらのうち少なくとも37 種は日本新産,20 種・1 亜種は小笠原新産であり,57 菌種について延べ80 種の新宿主が明らかとなった.新宿主には19 種の小笠原諸島の固有種が含まれていた.一方,固有植物から分離された他の50 菌株以上が37 属に同定されたが,DNA バーコードを用いたBLAST 検索などの結果では種まで特定できなかった.これらは新種の可能性も含めて分類学的所属を明らかにする必要がある.また,国内初確認13 種および小笠原諸島新産菌1 種は,熱帯・亜熱帯産の宿主から分離され,菌自体も熱帯・亜熱帯分布種であった.以上および既報から,小笠原諸島の菌類相には熱帯・亜熱帯要素が含まれていることが改めて認められた.