酪農科学・食品の研究
Online ISSN : 2189-6941
Print ISSN : 0385-0218
ISSN-L : 0385-0218
原報
ホエータンパク質分離物の加熱ゲル物性におよぼすタンパク質濃度, pHおよび塩化カルシウムの影響
藤野 博史六車 三治男伊藤 肇躬大橋 登美男
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 3 号 p. A-117-A-123

詳細
抄録
 ホエータンパク質の有効利用に関して検討する研究の一環として, WPIの加熱ゲル物性におよぼすタンパク質濃度, pHおよびCaCl2の影響について検討した。物性の測定は, レオメーターを用いて硬度を測定し, 破断エネルギーおよび弾性率を算出した。得られた結果の要点はつぎのとおりである。
 (1) pH未調整WPI溶液では, タンパク質濃度10%においても加熱ゲルは形成されなかった。
 (2) pH 5.5~8.0に調整したWPI溶液では, pH 5.5および6.0で強固な加熱ゲルが形成された。
 (3) pH 6.0に調整したWPI溶液は, タンパク質濃度8%で最大の加熱ゲル物性を示した。
 (4) pH 6.0に調整したWPI溶液は, 2mMまたは5mM CaCl2添加によって高い物性値の加熱ゲルを形成した。
 (5) 以上の結果により, WPI溶液のタンパク質濃度, pH値, CaCl2添加量を適切に調節することによって, 肉加工に使用可能な好ましい物性の加熱ゲルを調製できる可能性が示唆された。
著者関連情報
© 1993 日本酪農科学会
前の記事
feedback
Top