酪農科学・食品の研究
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総説
インドの伝統的食品である“イドゥリ”の微生物学的特徴
N. シャガラジャ細野 明義
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1994 年 43 巻 1 号 p. A-1-A-6

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抄録

 “イドゥリ”は南インドにおいて主食的に食べられている伝統的発酵食品である。米粉, 黒ヒヨコマメの粉を捏ね合わせ, 一夜自然発醇させ, バター (batter) が2ないし3cmに膨らんだ段階で発酵を停止させ, それを蒸して食べる蒸しパン様食品である。発酵には乳酸菌が関与し, 発酵によって特有の発酵臭と酸味が醸成される。発酵に関与する乳酸菌は人為的に接種するのではなく, 材料に混入した乳酸菌によって発酵が行われる。しかし, 混入乳酸菌の菌叢はほぼ一定しており, ヘテロ発酵型乳酸菌やPediococcusが見出されるのが特徴である。
 本総説ではイドゥリの製造時における細菌の変化と構成菌叢について述べると共に, 主叢をなす乳酸菌のアミノ酸分解物, スパイスそれにアフラトキシンに対する抗変異原性に関する最近の知見を中心にまとめたものである。

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© 1994 日本酪農科学会
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