抄録
本研究では腫瘍微小環境の構造解析に向けて,連続薄切標本の多段階・多重免疫標識に基づく組織立体構築法を開発した.ヒト舌癌浸潤先端部の組織立体構築では,パラフィン包埋試料から組織アレイ法により円筒形試料(3mm 径)を採取し,連続薄切標本(4μm 厚)に2段階に分けて多重免疫染色を施し,各標識画像をバーチャルスライドにより高画質のデジタル情報として記録した.これらのデジタル画像からRGB色調に基づき,サイトケラチン陽性の癌細胞,CD31/D2-40陽性の血管/リンパ管内皮細胞およびKi-67陽性の増殖核を分画できた.多要素の空間位置情報に基づく3次元構造解析では,2次元観察のみでは判定困難な癌胞巣の連結性や浸潤様式,脈管走行と組織内密度,癌細胞の脈管侵襲などの癌病変の予後判定に重要な病理診断指標が得られることが確かめられた.本研究の結果から,多段階・多重免疫標識と逐次画像保存を連結した組織立体構築法は癌生物学・診断学での活用範囲は広いと考えている.