2010 年 28 巻 4 号 p. 256-263
位相エンコード勾配磁界に同期して二次関数状磁界を印加する位相拡散フーリエ法では,信号の振幅は被写体関数がフレネル回折によってぼけた分布と同形となる.よって,位相拡散フーリエ法の信号空間は一種の画像空間とみなすことができる.この信号空間に受信コイルの感度分布関数に相当する重み関数を適用すると,単一信号から撮像後に擬似的に複数の重み分布を持つ画像を再生することができ,パラレルイメージングの画像再生法を適用することが可能となる.これまでの研究により,ほとんどの像の折り返し成分を分離できることが確認されているが,重み関数の近似誤差に起因する折り返しの残留と分解能の低下があった.本研究では,信号空間に適用する重み関数と像空間に与える重み関数は分離して考え,より精度よく設定した重みが再生像に与えられる方式を検討した.その結果,再生像の誤差軽減と分解の改善,ならびに提案法を有効とする撮像パラメータの範囲を大幅に拡大できることが示された.