2013 年 31 巻 2 号 p. 83-87
放射線医学総合研究所では,物理的な開放空間を持ちPET測定中に患者にアクセスすることが容易な新しいPET装置としてOpenPETの開発を進めている.初期アイディアである2つのリングによって構成した開放型PET「Dual-Ring OpenPET」は,開放空間を含めた広い範囲を撮影することが可能である.一方,OpenPETによる粒子線治療中の線量分布確認などの目的では,広い視野よりもむしろ視野を照射野周辺に集中させ,高い感度を実現することが望ましい.そこで,本研究では,1つの検出器リングによって必要な開放空間を確保しつつ,さらに効率よく感度を高めることが可能な第二世代開放型PET「Single-RingOpenPET」の提案を行った.提案するジオメトリをブロック検出器により実装した場合,楕円リングをずらしながら並べた形となるため,位置に依存した空間分解能の劣化が懸念されたが,深さ方向の情報を得ることが可能なDOI検出器を用いることで,視野内で均一な空間分解能を実現可能なことをモンテカルロシミュレーションにより示した.