抄録
近年,X線干渉計を用いた位相X線CT装置が開発されている.従来の吸収の断面積に比べ,位相シフトの散乱断面積は軽元素に対して1000倍以上大きく,非造影で生体や有機試料の観察が可能である.本研究では,普段固定に用いられるホルマリンと比較して脱水効果が高く,組織密度差を際立たせるエタノール固定法を用い,どの程度の高コントラスト画像を得られるか,脳を対象として検討を行った.実験は高エネルギー加速器研究機構で実施し,撮影時のエネルギーは35keVとした.100%エタノールで潅流・固定したラットの摘出脳を位相X線CTで撮影し,高コントラストな脳画像が得られた.特に,白質構造が明瞭に描出され,画像処理ソフトを用いて,脳梁から連なる神経叢を三次元的に抽出することも可能であった.