2014 年 32 巻 2 号 p. 98-108
CADの性能は機械学習によるところが大きく,開発用データセットと実運用時のデータの画質が異なる場合,通常は期待される性能が得られない.このため,使用施設のデータを継続的に収集して再学習を行うことでCADの性能改善が期待される.本論文では,遠隔読影環境での多施設連携によるCAD開発,実運用,および継続的性能改善について報告する.われわれが開発した統合的CAD実行/評価環境(CIRCUS CS)を遠隔読影環境へ導入するためにシステムの機能追加を行った.2011年9月より東大病院の初期開発用データセットで学習した2種類のCAD(肺結節検出,脳動脈瘤検出)を遠隔読影環境下で使用し,評価(フィードバック)データの収集を行った.収集したデータを用いた再学習のシミュレーションにより,施設ごとのCAD性能が改善されることを確認した.このことにより,画質の多様性に対応したCAD開発/臨床使用の促進が期待される.