2014 年 32 巻 4 号 p. 272-281
近年,手術室から得られる動画像記録やセンサ情報を用いた手術工程解析の研究が,手術の洗練化や術者の技術評価などの目的で注目されている.本研究では,覚醒下脳腫瘍摘出術の皮質マッピング工程を対象に解析を行うことを目的とする.覚醒下脳腫瘍摘出術では,皮質マッピング工程が患者の術後障害リスクに大きな影響を与えるため,その工程の解析が求められているが,電気刺激位置などの工程解析に重要な情報を動画像記録から人手で抽出することは大きな労力を必要とする.そこで本論文では,皮質マッピング工程の動画像記録から解析に必要な電気刺激位置を自動検出する手法を提案する.提案手法は,電気刺激を行う電極先端位置の検出と,どのフレームで電気刺激を行ったかを判定する電気刺激終了タイミング検出の2段階から構成されている.本論文では提案手法を6症例の皮質マッピング工程の動画像記録に適用し,提案手法の有効性を示す.