2016 年 34 巻 1 号 p. 8-12
認知症の早期診断や鑑別診断および予後予測には脳血流SPECTやMRIのarterial spin labeling(ASL)による脳血流イメージングが補助的な客観的バイオマーカーとして有用である.画像評価は視覚評価が基本であるが,微妙な血流変化を正確に再現性よく捉えるには,解剖学的標準化を行った上での統計学的評価が有用である.この統計学的評価に最も用いられている手法にstatistical parametric mapping(SPM)があり,研究のみならず臨床レベルにも用いられるようになった.さらに,最近では解剖学的標準化を行った像に対してグラフ解析法を用いた評価も行われている.グラフ解析法では,SPMでは評価できない,脳のネットワーク構造のスモールワールド性や頑健性などを評価することができ,認知症における病態評価や治療効果判定に有用性が高いと期待されている.