2020 年 38 巻 1 号 p. 15-20
ポストゲノム時代に入り,次世代シークエンサーの発展もあって,遺伝子解析のコストが急激に低下してきた.遺伝子検査が日常診療で行われる日も近いと予想される.このような時代背景の中で,これまで病変の表現型を中心に議論されてきた放射線医学の研究に,遺伝型の新しい視点を加える研究が広がりをみせつつある.本稿では,レディオゲノミクス(radiogenomics)とは何か,コンピューター支援診断と何が異なるのかについて説明する.また,脳疾患を対象としたレディオゲノミクス研究の具体例として,(1)画像からがんの遺伝子変異を推定する研究,(2)画像と遺伝子を用いた予後予測の研究,(3)画像と遺伝子を用いた早期診断支援に関する研究,について述べる.