日本臨床外科学会雑誌
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症例
結腸亜全摘により救命した腸管出血性大腸菌O-157感染性腸炎の1例
濵崎 俊輔村田 祐二郎坂東 道哉森 正樹佐藤 裕二
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2015 年 76 巻 4 号 p. 817-821

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抄録
症例は42歳の女性,全身性エリテマトーデスに対しプレドニゾロン20mg内服中であった.下腹部痛と下血を主訴に受診し出血性腸炎の診断で入院となった.第2病日,下部消化管内視鏡で横行結腸に縦走潰瘍と浮腫を認め,内視鏡上虚血性腸炎と診断した.第3病日,腹膜刺激徴候を伴う腹部症状の増悪と全身性炎症反応症候群,血圧低下を呈し,壊死型虚血性腸炎による腹膜炎,敗血症を疑い緊急手術を施行した.腸管の広範な浮腫と褐色変化を認め,終末回腸から下行結腸を切除し回腸人工肛門とS状結腸粘液瘻を造設した.第4病日,内視鏡時の粘膜生検培養より腸管出血性大腸菌O-157とVero毒素が検出された.術後は良好に経過し第60病日に退院となった.
本疾患は保存的治療が基本であり外科的治療を必要とした報告は少ない.汎発性腹膜炎を呈する本疾患の場合,治療の機会を逸することなく手術も考慮する必要があると考えられる.
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© 2015 日本臨床外科学会
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