新学術領域研究「多元計算解剖学」は,高精細医用イメージング技術と情報学の融合の成果である「計算解剖学」の多元化をおもな目的として計画された.新たに立ち上げた多元計算解剖学では,計算解剖学の研究成果をもとに,細胞レベルのミクロから臓器レベルのマクロまでの解析を空間軸として,胎児の発生から死亡時までの人の一生涯を対象としたさまざまな期間における解析を時間軸として,機能的な画像イメージングや細胞や臓器の生理機能,代謝などを対象とした解析を機能軸として,正常から炎症や発がん過程など病的疾患を対象した解析を病理軸として捉え,それぞれの軸を融合・統合することにより,多元計算解剖モデルを確立し,人体の真の理解を深めることを目指した.本稿では,多元計算解剖学の多くの成果の中から,早期発見や治療の困難な疾患に対する診断・治療法へと展開された成果の概要を紹介する.