2022 年 40 巻 5 号 p. 226-232
関節リウマチは,病態が進行すると全身の関節破壊を生じ,患者のQOL(quality of life)を著しく阻害する.関節リウマチの診断は,血液検査やX線画像診断により総合的に行われている.特に,X線画像診断は簡便に病態の進行を捉えることができるが,読影医師の負担増加や医師の主観的な評価による再現性が課題となっている.そこで,コンピューターの解析結果を第二の意見として利用するコンピューター支援診断システムの開発が期待されている.本論文では,経時的差分技術により同一被験者の過去・現在画像から関節リウマチの進行を捉える支援診断システムの開発を目的とし,指骨領域の位置合わせ手法を提案する.Geometric Matching CNN を画像ペアごとに最適化することにより,指骨領域の高精度な位置合わせを行う.提案手法を560組の合成指骨領域画像に適用した結果,TP が99.26%,FP が0.79%となり,従来手法との比較により提案手法の有効性を確認した.