Medical Imaging Technology
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研究速報
深層学習を用いたマルチピンホールSPECT システムの 空間分解能の改善
島田 良村田 一心尾川 浩一
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2023 年 41 巻 3 号 p. 124-128

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抄録

ピンホールSPECT システムでは,ピンホール径に依存して再構成画像に空間分解能の低下が発生する.従来,このようなピンホール開口に起因するボケは,検出確率に基づくシステムマトリックスを求め補正する,あるいは投影線の数を増大させて改善するなどの方法がとられてきた.しかし,前者は画素が小さいときやピンホール数が増大すると計算負荷が大きくなるという欠点があり,後者はピンホール径が大きくなると空間分解能が十分に改善できないという問題があった.そこで本研究では,深層学習(U-net, U-net++)を用いてピンホールによる空間分解能の低下を低減する方法を考案した.具体的には,空間分解能が低下した投影データを入力データとし,理想的な無限小ピンホールの投影データを教師データとして学習させる畳み込みネットワークを実装し,空間分解能の低下を抑制した.シミュレーション結果からPSNR 値で画質を評価すると,提案手法(U-net, U-net++)はそれぞれ17.48, 17.92 dB となり,従来法である21-rays 法の16.82 dB と比較して,空間分解能を改善できることが明らかとなった.

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© 2023 日本医用画像工学会
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