MRIで得られる物理量をバイオマーカーとして臨床利用するためには,当該物理量の定量化,ならびにそのための測定法の標準化が不可欠である.このような観点から,北米放射線学会を中心としたQuantitative Imaging Biomarkers Alliance(QIBA)が検討を進めている.機能的MRI,動的造影MRI,動的磁化率コントラストMRI,筋骨格MRI,拡散強調MRI,磁気共鳴エラストグラフィーについてはprofile とよばれる要求仕様などをまとめた文書が作成され,臨床実用に向けて準備が進められている.他方,動脈スピンラベリング,拡散テンソル,脂肪プロトン密度などはまだ標準化検討の初期段階にある.MRI にはほかにも温度,pH,磁化移動率など,バイオマーカーとなりうる物理量がある.本稿では標準ファントムの状況も含め,バイオマーカーとしての定量化・標準化の最新動向と課題を論じる.