2025 年 43 巻 1 号 p. 23-29
放射線治療における画像誘導の導入は,がん治療の精度に大きな進歩をもたらした.Image-guided radiation therapy(IGRT)では,portal imaging,on-board imaging(OBI),cone beam computed tomography(CBCT),MRIなどの技術を利用し,体内の構造に基づいて患者を正確な照射位置に配置することが可能である.これらの技術の進歩により,解剖学的に複雑で経時的に変化する腫瘍体積により正確に放射線を照射すると同時に,周囲の正常組織への放射線の影響を低減することが可能である.各画像誘導装置にはそれぞれ利点と欠点があるが,装置の普及性や,適応的放射線治療への応用可能性を踏まえて,本稿ではCBCTに焦点を当てる.CBCTの画質劣化要因について述べた後,これまで適応的放射線治療のために提案されてきたCBCT画質改善に関する先行研究を概観する.この中で,最近注目されている深層学習に基づいた複数の改善手法について,臨床データを用いた実行結果とその有効性を検討する.