本稿では,欧州における核医学の主要国であるドイツの現状を概説し,特にヴュルツブルク大学核医学科における臨床体制の実際を紹介する.診断領域では,陽電子放射断層撮影(PET)を中心とした分子イメージングの臨床利用状況を,治療領域では,前立腺特異膜抗原(PSMA)などを標的とした標的型放射線治療(targeted radionuclide therapy)の現状と展望について言及する.また,近年,核医学分野における製薬・バイオ企業の関心が高まり,放射性医薬品企業の買収や提携が加速している.さらに,ドイツでは2024 年の医事法改正により臨床研究の実施環境が改善され,新規放射性医薬品の臨床応用がより円滑に進められる制度基盤が整いつつある.本稿では,こうした産業動向および制度面の変化も踏まえ,診断と治療が融合する核医学の現状と今後の課題について論じる.