2025 年 43 巻 4 号 p. 97-102
超音波検査画像はCT(computed tomography)・MRI(magnetic resonance imaging)といった放射線や磁場共鳴を用いる検査手法から取得される検査画像と比較してノイズが非常に多く,人工知能(artificial intelligence)を活用した画像診断支援AIの開発は遅れている.筆者らの研究グループは,この困難な超音波検査の中でも難易度が比較的高いといわれる「胎児心臓超音波スクリーニング」を対象にして長年超音波AIの研究開発を行ってきた.特に,医療現場での超音波AIの普及には説明可能性の向上が必要不可欠との考えのもと,さまざまな手法を提唱してきた.本稿では筆者らの提案する説明可能表現であるbarcode-like timelineとgraph chartについて説明する.さらに双方の手法を医師が実際に用いた結果,どのように自身のスクリーニング能力を向上させることができるかを示す医師読影比較試験の結果を説明する.最後に現在の超音波AI研究の最前線と展望を紹介する.