不動産再生事業を営むサンフロンティア不動産株式会社におけるアメーバ経営をとりあげ,業種の特性や経営者の考え方がアメーバ経営の仕組みや実践にどのように反映されているか紹介する。歩合給のようなインセンティブ報酬が支配的な不動産業において,「利他」の精神を基盤とする経営実践がアメーバ経営によってどう実現しているのかを示すことで,アメーバ経営の類型のバリエーション増大に貢献する。また,サンフロンティア不動産の部門別採算制度では,社内ファンドのような仕組みを活用して,努力せずとも得られる固定的な収益(埋没収益)を部門の業績評価から除外するような工夫が行われていることを紹介する。