2019 年 11 巻 2 号 p. 63-71
会計の記帳においては,控除という演算における減数という意味ではなくて,資産にたいして負数,利益に対して損失というように,経済活動上計算結果が負数になる場合が必ずあり,負数は不可欠な要素である。しかし実際上は負数が使われていることは,簿記生成の時期から今日までない。それは負数という目に見えないもの,存在しないものを,目に見える正数に喩えて認識しているからである。これを認識の知恵としてのレトリックとして理解し,さらに近代の会計観がこのレトリックの上に成り立っていることを示した。