2013 年 6 巻 1+2 号 p. 3-14
世界の経済,社会の持続的発展において,先進国の最も重要な役割は「イノベーションを起こすこと」と言っても過言ではない。トヨタでは,イノベーションの目的を「普及させることによって社会に貢献する」としており,それを実践しているのが「プリウス」である。 「プリウス」の開発は,'90年代前半に世界の潮流を読んでいたトップ陣営と短期で実現させた技術陣営の両輪がかみ合ったものと言える。しかし,成功の秘訣は開発後のマーケティング,輸出,現地生産,技術の次世代化と「普及」にかけたエネルギーであったとも言える。現地生産を行うためには,各地でのサプライチェーンの確立や人材育成が必須となることから,その国の社会発展に寄与する。これらを全て管理することが「イノベーション・マネジメント」である。そして,これらが整った時,その国と企業(収益)の相乗的な持続的成長が確立する。