メルコ管理会計研究
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6 巻, 1+2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特別寄稿論文
  • ――トヨタ「プリウス」に見る「イノベーション・マネジメント」――
    土井 正己
    2013 年6 巻1+2 号 p. 3-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    世界の経済,社会の持続的発展において,先進国の最も重要な役割は「イノベーションを起こすこと」と言っても過言ではない。トヨタでは,イノベーションの目的を「普及させることによって社会に貢献する」としており,それを実践しているのが「プリウス」である。 「プリウス」の開発は,'90年代前半に世界の潮流を読んでいたトップ陣営と短期で実現させた技術陣営の両輪がかみ合ったものと言える。しかし,成功の秘訣は開発後のマーケティング,輸出,現地生産,技術の次世代化と「普及」にかけたエネルギーであったとも言える。現地生産を行うためには,各地でのサプライチェーンの確立や人材育成が必須となることから,その国の社会発展に寄与する。これらを全て管理することが「イノベーション・マネジメント」である。そして,これらが整った時,その国と企業(収益)の相乗的な持続的成長が確立する。
  • ――東日本大震災を越えて――
    佐々木 郁子, 岡野 知子
    2013 年6 巻1+2 号 p. 15-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    東日本大震災後,BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)/BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)の有効性が注目されている。一方,被災した企業は多大な労力と資金を費やし事業再開を果たしている。本稿では,BCPを利用して事業継続を成功させた事例と,政府の被災企業支援の補助金の枠を越えて将来の発展に向けた設備投資と減災のための設備投資によって事業再開を果たした事例を取り上げる。これらの事例から事業継続・事業再開には,BCP/BCMのような危機管理システムは限定的ではあるが有効であること,事業再開までの従業員のモチベーション維持と危機を見据えた企業間の協力関係,設備投資のための資金計画・融資協力をしておくことが重要であることが明らかになった。
研究論文
  • ――制度論的パースペクティブによる検討――
    塩見 浩介
    2013 年6 巻1+2 号 p. 25-35
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    本論文は,部品標準化運用によるコスト低減研究に向けて,制度論的パースペクティブの概念をもちいて,その研究の方向性を検討するものである。はじめに,先行研究としてBurns and Scapens(2000)における制度論的パースペクティブの3つの概念である,制度,ルール,ルーティンの定義と,制度化プロセス図について確認をおこなう。つぎに,製品開発における部品標準化についてのべ,制度化プロセス図に部品標準化運用をあてはめる。その結果から,管理会計チェンジの視点による部品標準化運用を考察し,部品標準化運用によるコスト低減研究の方向性の検討をおこなう。
  • ――大手化学メーカーを対象とした実証研究――
    高見 茂雄
    2013 年6 巻1+2 号 p. 37-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    大手化学メーカー58社を対象に,2000年3月期から2010年3月期までの11年度を3期に分け,各社の中期経営計画の遂行度を内容面と総合形式面から評価した。コントロール変数を加味した回帰分析結果は,経営成果変数ROAでは中期経営計画遂行度評価の内容面と総合形式面とも有意であり,第2期を除きROAを押し上げる効果があることを示した。これに対し,時価総額上昇率では逆説的に第2期の遂行度のみが押し上げ効果があるという結果を示した。これらから,中期経営計画が成果指標に及ぼす影響は一律ではなく,経営成果指標や中期経営計画の評価時期や内容によっても異なること,ROAでは中期経営計画の統制効果が,時価総額上昇率では積極投資の遂行度が経営成果につながったことを示唆している。
  • ――被導入企業における受容プロセスを中心に――
    潮 清孝, 桐畑 哲也
    2013 年6 巻1+2 号 p. 51-62
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    本稿は旧・三田工業株式会社におけるアメーバ経営の導入事例を分析している。具体的には,京セラにおいて長年のプロセスを経て現在の形に至った同経営手法が,会社更生法の適用を経験し,短期間での抜本的事業再生を求められる状況にある中で,どのように導入され,また被導入企業において受け入れられるようになったのか,という点に焦点を当てて分析を行っている。その結果,①京セラにおけるアメーバ経営をそのまま同社にあてはめて実践するのではなく,既存のビジネスモデルとの「融合」が図られながら導入が行われたこと,②当該プロセスを通じて,アメーバ経営における基本的な価値観や考え方が,被導入企業側の従業員に受容され,組織全体に浸透するようになった,という2点が明らかになった。
研究ノート
  • ――ミドルマネジメントの観点から――
    藤原 靖也, 井上 秀一
    2013 年6 巻1+2 号 p. 63-72
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/11/17
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,医療機関の管理会計システムの利用におけるミドルマネジメントの役割を検討することである。 これまで,医療機関において管理会計システムが受容されない大きな要因の1つはプロフェッショナルの組織に対するコンフリクトであると指摘されてきた。しかし,近年の研究結果は,プロフェッショナルを管理するために,ミドルマネジメントが重要な役割を担っていることを示唆している。ただし,ミドルマネジメントの与える影響については必ずしも体系的に整理されてこなかった。 本稿のレビュー結果によれば,医療機関における管理会計システムの利用にはミドルマネジメントが重要な役割を果たしていることを示唆している。本稿では,ミドルマネジメントの役割をより詳細に検討することが,医療機関における管理会計システムを効果的に機能させるために重要であると結論付けている。
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