抄録
2011 年の設備投資行動に関するアンケート調査において,多くの企業が投資評価技法として損益分岐点法や原価比較法をよく利用しているという発見があった。つまり,日本における投資評価技法は従来考えられていたものよりもさらに多様性があることが明らかになった。両技法の考え方と特徴を調べるために既存の文献を検討した。その結果,両技法には時間価値を加味したものとそうでないものが存在した。両技法の利用度データを使ってクラスター分析と相関分析を実施したところ,この2 つの評価技法は,単純回収期間法に近い技法であることや単純回収期間法と併用されることが多いことが判明した。 したがって,両技法の利用実態としては時間価値を加味しないままに利用されているものと推測される。