2009 年 21 巻 1 号 p. 40-47
本研究では,ポリプロピレン(PP)/セルロース(FC)系のウッドプラスチックに対し,分散剤として熱酸化劣化ポリプロピレン(DgPP)を使用した.今回使用したDgPPとしては,130℃で18時間劣化のものを作製して使用した.DgPPは,カルボキシル基やγ-ラクトンといったFC表面を修飾し得る官能基を持っていることが1H-NMR測定によって確認された.また,PP/FC系ウッドプラスチックにDgPPを添加することで透明性が上昇した.これはDgPP中のカルボン酸やγ-ラクトンといった部分とFC表面の水酸基部分とがエステル結合を形成し,グラフト化による修飾をすることに起因している.走査型電子顕微鏡(SEM)による観察では,DgPPがFC表面を覆っており,FC界面の改質に成功したことを示した.また,力学的性質においては,DgPPの1wt%添加時に,引張強度およびヤング率において改善が見られた.これらの結果より,DgPPは効果的な分散剤であることが証明された.