科学的根拠に基づく寿命評価法がまだ確立していない太陽電池モジュールの寿命評価の現状を概観した.さらに一定期間実際に稼働したモジュールの特性低下を精密に測定するという方法を示した.この方法は目新しいものではないが,これにより長期の出力低下を推定し,さらに低下量の分布や劣化モードを推定することができることを示した.実際1990年代の初めに日本で生産された約2,000個の結晶系シリコン太陽電池モジュールを対象に10年稼働前後の特性を精密に測定した.各パラメーターの低下量を解析した結果10年で平均4.7%,従って30年で平均14.1%の出力低下が予想されること,さらにこの出力低下はFFモード,I・Vモードおよび劣化モードの3つの劣化モードによって生じていることを明らかにした.