2012 年 24 巻 2 号 p. 60-68
本研究では、熱分解やその他の解析を行うことでポリフェニレンエーテル樹脂およびそのアロイの燃焼抑制効果に関して,検討を行った.その結果,ポリフェニレンエーテルアロイの難燃化においては各種カルボン酸塩が有効であることが判明した.これらは主として食品添加物として広く知られている安全な化合物であるが,顕著な燃焼抑制効果をもたらすという新しい知見を得た.特に構造にベンゼン環を持つNa塩が最も高い燃焼抑制効果をもたらした.一方,NEATのポリフェニレンエーテルアロイ樹脂の燃焼初期段階の表面拡大観察,並びに分析によってポリフェニレンエーテル樹脂と相溶化樹脂の双方が独自に異なる温度で熱分解するのではなく,一成分分子のような比較的均一に熱分解することがわかった.さらに,ポリフェニレンエーテル樹脂の熱分解生成物を同定した結果,多岐にわたる単量体と二量体の生成が見られたが,特に単量体については,その生成プロセスの整理を行った.