マテリアルライフ学会誌
Online ISSN : 2185-7016
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24 巻, 2 号
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解説
総合論文
  • 山下 武彦, 中島 江梨香, 武田 邦彦, 齋藤 永宏, 高井 治
    2012 年 24 巻 2 号 p. 60-68
    発行日: 2012/05/31
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    本研究では、熱分解やその他の解析を行うことでポリフェニレンエーテル樹脂およびそのアロイの燃焼抑制効果に関して,検討を行った.その結果,ポリフェニレンエーテルアロイの難燃化においては各種カルボン酸塩が有効であることが判明した.これらは主として食品添加物として広く知られている安全な化合物であるが,顕著な燃焼抑制効果をもたらすという新しい知見を得た.特に構造にベンゼン環を持つNa塩が最も高い燃焼抑制効果をもたらした.一方,NEATのポリフェニレンエーテルアロイ樹脂の燃焼初期段階の表面拡大観察,並びに分析によってポリフェニレンエーテル樹脂と相溶化樹脂の双方が独自に異なる温度で熱分解するのではなく,一成分分子のような比較的均一に熱分解することがわかった.さらに,ポリフェニレンエーテル樹脂の熱分解生成物を同定した結果,多岐にわたる単量体と二量体の生成が見られたが,特に単量体については,その生成プロセスの整理を行った.

報文
  • 北條 哲男, 横山 晋一, 浅尾 和年
    2012 年 24 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2012/05/31
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    既設構造物の構造的な補強手段として,軽量・高強度な炭素繊維強化複合材料は広く用いられている.これまで鉄筋コンクリート構造物の耐震補強をはじめ,多くの補修・補強の実績がある.しかし,木造に対する炭素繊維強化複合材料による実施は少なく,多面的なデータの蓄積が望まれている.木造に適用する場合は,木材の腐朽性を考慮した複合部材としての耐久性の評価をすることが重要と考えられる.本稿では,歴史的建築物の保存補修に用いられた実施例を通じて,炭素繊維補強材が屋外に設置される場合の使用環境状況を調査分析した.次いで,環境要因が付着や曲げ特性におよぼす影響を把握することを目的として,温度・湿度の環境的履歴を与えた後の炭素繊維強化複合材料で補強された木質複合材料の付着強度および曲げ強度を測定し,耐久性の評価に関する基礎的な実験を行った.

技術報文
  • 小川 俊夫, 山家 雄志, 坂口 聡
    2012 年 24 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2012/05/31
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    ローソクには和ローソクと洋ローソクがある.両者には成分の違いがあり,また和ローソクでは産地によって違いがあることが考えられる.このため,本研究では主に和ローソクについて,熱分析,ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)および赤外分光分析法で和歌山県産,四国産,九州産および中華人民共和国産の4種の和ローソクと洋ローソク1種について分析した.その結果,以下のことが明らかとなった.

    1)和ローソクの主要成分は産地によらず同じであり,パルミチン酸を主成分として,少量のオレイン酸より構成されるグリセリンエステルであることがわかった.中華人民共和国産に極わずかな第3成分があることを除いて,産地間の違いはあまりなかった.

    2)洋ローソクは炭素数20~42個のパラフィンが主成分で,これら分子の混合物であることが明らかとなった.また,若干の脂肪酸も存在することが確認された.

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